インタビュー(んんん)

インタビュアー(以下イ):というわけで続きですが、
恐ろしく間が空きましたね
どい(以下ど):季節が変わるぐらい逃げました
イ:では1曲目から順に伺っていきたいと思います
まず1曲目アルバムタイトルでもある『んんん』から
ど:はい、これは見た事無いんですが『三省堂国語辞典』(第三版以降)
の最後の項が『んんん』なんだそうです
イ:ほう
ど:それを武藤康史が書いた『国語辞典の名語釈』という本に
取り上げているんですね
イ:どうゆうふうに?
ど:最後の項が『んんん」である事に忘れられないほど感銘をうけたと
その語釈が(1)ひどくことばにつまったときの声。うーん。
(2)[女][二番目の音(オン)を下げ、または上げて]打ち消しの気持ちをあらわす。ううん。
で著者は、特にこの(2)に感銘し、小津安二郎の映画『麦秋』にも
そんなシーンが確かあったと思い当たる
原節子が最後の方のシーンではっきり『んんん』と言っている、と
イ:飛躍がスゴい方ですね
ど:そうですね、辞書読んで『ああそういえば原節子が、、』って思い出せるって
スゴいですね
イ:そっから拝借したと
ど:どうにも頭を離れなかったので
曲名とアルバムタイトルにしようと、もうこれ以上おしりの言葉も無いし
そんな言葉で自分の一枚目のアルバムが始まればもう前見るしかないなと
イ:で、曲の方に話を移したいのですが
コンセプトの元というか始まりになってますよね
ど:はい、これをどう話せばいいか迷ってて
というのも誰も意図したようにはとってくれないんですよね(笑
これはこういう曲ですっていうと『ええっ!』っていわれる
イ:どういう意図なんでしょう?
ど:これは自殺する、した人の曲です
何となく思い出すのはエリオット・スミスがナイフで自分の胸を刺したっていう
イ:ああ、自殺と断定された訳ではなかったと思いますが
ど:はい、イメージですけど、被弾したって所とか
ゆっくり生から死へ向う途中、回想で後悔の言葉が少し漏れる
もう何も出来ないと
そこで思い出すのが朝謡のことで、これは最後の曲と繋がってます
どこまで説明すればいいのか分からないんですけど
イ:行くとこまで行っていいんじゃないですか?
ど:うーん、自分の中でもごっちゃになってるんですね
安部公房箱男とか燃えつきた地図とかあの辺の感じ
2人がどうにも入れ替わってるというか
だからここで死ぬのが女(ハルカ、尼崎の女)なのか
朝謡なのか、元々そんな奴がいたのかどうか
どこかでライフラインにしていた声が気付けば聞こえなくなっていた
元々そんな声自体が妄想なんじゃないのか、と
イ:自分でも混乱しているんですね
ど:いや、ハッキリした答えを持って作りたくなかっただけで
そこには意図的です
イ:でもそのせいで聴いた人に曲のコンセプトが見えづらいのかもしれませんね
ど:そうですね
イ:では元々のこの曲のルーツというか誕生の理由ですが
ど:これも難しいですね、こういうと語弊があるかもしれませんが
何故かこういう状況に陥ってしまう人に惹かれます
やはり大阪という土地で育ったのと環境が悪かったんでしょうね(笑
イ:そこ笑いどころですか
ど:あい、すいません、ここに手をつけると果てしなくなるのでやめときますが
平凡だからの憧れじゃなくて、どっちかていうと関わってきた、見てきた人達が
堕ちていく所をさんざん目にしたのでそういう部分です
だから光をスポットを当てたいっていうのがいつもあります
イ:なるほど分かりました
説明し切れたと思いますか?
ど:分かりませんね、支離滅裂な感じしかしませんが
読んだあともう一度聴いてもらうとちょっと印象が変わるかもしれません
それがいいのか悪いのかも分かりませんが

イ:では次回2曲目Phantom Lightでお逢いしましょう。