ぼんやりベイビー 歌詞

あれから僕は

あれから僕は この夢の中にいて ここが終わるのを眺めてたよ

忙しくてながい夏のこと 出不精で空想に埋もれた冬のこと

立ちつくす春に目をつむり 氷のような手のひらで頬を包む


毎日が過ぎるたびに 割れる思い出の 

砂のようなそれを抱えて 息を止めるよ


さびしいと僕は あの月の 裏側を見ようと梯子に手をかけて

登ればすぐに息を切らし 真っ黒な海のような街をみる


さようならと つぶやくたびに瞬く夜の眼が 

愚鈍なこの さみしい軌跡をみつめているのなら

ここにいたことを いつまで覚えていれるかな?

砂のようなそれを抱えて 息を始めるよ


ジ・イルミネイテッド・ナイチンゲール

汚れた路上に ふざけた恰好 被り物をして イカレた恋人たちを祝福しては 

怒りを買って ゴミ溜めの暗い路地に突き飛ばされた


輝くこの夜には 浮かれたような名前があって 

君の眼は夢の中のロウソクの火を吹き消して 雪を降らせた


降る 降る 雪が降る 降れ 降れと 君が望んだ 

ぶるぶる 僕は震えてしまう こんな輝く夜の中


酔いどれ ビラを撒くサンタの格好 廃棄のクリスマスケーキ 

泡沫の夜 君の背中にシミを残す イルミネーション 楽しくて悲しい歌が流れる


ハッピークリスマス なんて誰かの声 走り去りながら僕の肩を押す 

よろめく僕の目に 映る街の光が 滲んでぼやけていく


輝いて落ちる星を 蹴飛ばして 下を向く 

巨大なビルが 欲望と絶望を吸って 黄金に輝いて いく


惨めな 恋を抱えたまま小夜なく君が 

空からこぼれ落ちて いくのを 見つけたから 走る 走る


降る 降る 雪が降る 降れ 降れと 君が叫んだ 

RUN RUN 僕は走っていくから


輝いて 落ちる君を 抱きしめようと手を伸ばす 

イカレた夜の中で二人はきっと黄金に輝いてしまう


汚れた路上に ふざけた恰好 被り物をして イカレた恋人たちを祝福しては 

怒りを買って ゴミ溜めの暗い路地に突き飛ばされた


あの時のビッチ

消えないよレディ 君についた傷が

どこへ逃げても 思い出を紡ぐの

夢をみたよ こんなに惨めなまま

君を乗せたら 空へ浮かぶよ


恥ずかしそうに 手で覆い隠して過ぎた 

地獄の季節を 睨んで受け入れて

夢なら醒めて そう言い背中が震えた

薄暗い未来を 泣きながら笑った

目に映るのは 見えない恋で


消せないから 抱えていくのね

ほら、あの時の あたしあのビッチよ

最低なここから 君に手を伸ばす

ダーリンつまえて 意味なら後にして


消えないなレディ 君についた傷が

どこへ逃げても 思い出を紡ぐの

夢をみたよ こんなに惨めなまま

君を乗せたら 空へ浮かぶよ


鏡の前で

鏡の前に立って 目線をぼやかして顔の細部が瞳に写らんように自分の顔を見る

家に帰ったら あれとこれをあれをして,,,と 家の中にいてるのにそうつぶやく

自分の最後は、車にはねられて死んだ何かの屍骸をうっかり踏んで それで自責の念に駆られて

自分も死んでしまうのだと そう思っている

こんなことでも死んでしまう立派な動機になるのだと 会ったことも、言われたことも

見たこともない人間に対して なんでか沸々と怒りが込み上げてくる

屍骸も何も踏んだこともないのにそう考える


せわしなくて、ぼんやりと 焦点の定まらんまま 階段から足を踏み外すような不安が

背中に落書きされたみたいに、見えずに残る

アホなふりしたいのんと、褒められたいのんとが 生来の無能さに 呆れ果てて なすすべなく立っている


昨日見た映画のワンシーンが 頭にこびりついても 何の役にも立たんのと同じで

惰性で身に付いた習慣で、やりくりしていく毎日に出口が見つからんのと同じで

泣き叫んだら奇異の目を向けられて 避けて通られるから

手を口に押し当てて指を噛んでたら 結局変な目で見られたことと同じで


鏡に映る自分を見てるとなしに見つめる 前にもここでこんなことしてた気がする

目の下のこんなところにほくろなんかあったけ?


一週間もしたら そんな全てを全くきれいに忘れてる

そんでまた おんなじことを 鏡の前で繰り返す


あの娘の残したもの

僕のあの娘が死んだ朝 汚れた仕事帰り

さみしい手紙がそれを知らせたよ もうさようならと手を振れないと知ったよ

缶ビールを2本踏みつぶしても まったく眠れない

せめて今は夢の中だけでも 笑ってる顔が見れるかな?


ほっといたら痛み出したよ うつむいたまま胸を見ていたら

何にもないから君が見えたよ それで少し時間を忘れていて

夜が来たよ


僕があの娘を忘れた朝 まったく鈍い光

それにやられてさ くらくらして 手のなかから切符を落としていた


雲が割れてそこから 君と過ごした日々があふれて

何にもない僕に降ってきたから それで少しふざけてみたけど

間抜けなほど 路上でさ 泣いていたよ


静かな場所

遠い遠い声も 聞こえない場所にいた

辺りは静かな工場地帯 上には月だけがいて

君に歌うのは 最後だと振り向いた

最低な声が怒鳴りだす前の 静かな静かな場所へ

手を握って 走り出した背中を追って 風のなかで震えていた

行く先の暗いダーリン 情けない顔で 微笑んだ


もう誰もここを 憶えてはいないかしら

打ち震える声が一つ 空に吸い込まれ

君に向かうのは 最後だとうそぶいた

失くした記憶が 雨を呼び出して 全てすべて 溶かして

声を残して この惨めな日々を奪って 雨に降られた二人の

行きつく先はここ 最後に触れたダーリン

んんん、何もいま こわくないよ


ぼんくらベイビー

足りない頭でさ たまらない夢を生み出して 

退屈なあたしの為に あの月を目印にして

ぼんくらベイビー 夜を超えてここにきて

ぎょろ目のダーリン 夜を割ってたどり着いてよ


さえない顔してさ 醒めない夢を見てるみたい

笑っちゃうような足取りで 頼りない手を差し出して


知らない言葉で 君があたしに話しかけてよ

見えない意味を見つけてきて 日々をちゃんと笑えるように

今でも君の歌を信じさせてよ

ぼんくらベイビー ぼんやりダーリン

ぼんくらベイビー 君を待つよ 夜の中


恋のノックの音 「夜になっちまった」って

日が明るいうちは いつでも躓いているけど こっから走っていくよ

終点には君が 失くしてしまう前に 手遅れになる前に


耐え切れないからさ 膝を抱えたままだから

今は太陽より君が・・

いつも太陽より君が・・・


ぼんくらベイビー 夜を超えてここにきて

ぎょろ目のダーリン 夜を割ってたどり着いてよ

足りない分は 恋の力で加速して

ふざけた夜を 笑えるように塗りかえてよ